命を守る仕組みをどう作るか


老犬ホームを準備している中で、犬にばかり目がいってしまう自分がいます。
街を歩いていても、散歩をしている犬の姿がつい気になります。特にゆっくりとした足取りで歩く老犬を見ると、「どんな犬生を歩んできたのだろう」と想像してしまいます。

 

一方で、動物愛護の現場では、さまざまな事情から行き場を失ってしまう犬や猫がいることも事実です。そうした命を守るために、多くの人たちがそれぞれの立場で力を尽くしています。

 

ペットに関する制度には、「第一種動物取扱業」と「第二種動物取扱業」という区分があります。
営利か非営利かによって分けられており、営利で動物を扱う事業者には厳しい規制が設けられる一方、保護活動などを行う非営利団体には、活動しやすいよう規制がやや緩やかになっています。

 

こうした制度の考え方は理解できます。
しかし、現場の状況を見ていると、別の課題も見えてきます。

 

動物愛護センターの役割はとても大きいものがあります。職員の皆さんも、命ある動物たちの最後の砦としての使命を自覚し、日々一生懸命取り組んでおられます。

 

しかし、その活動を陰で支えている数多くの保護団体の存在も見過ごすことはできません。保護団体の皆さんは強い使命感と責任感を持ち、目の前の犬や猫を放っておくことができず、保護し、飼養しようとします。

 

もちろん、自らの受け入れ可能な頭数や経済的な限界を意識しながら活動している方々も多くいます。それでも、保護依頼が重なり、気がつけば抱えきれない頭数となり、経済的にも精神的にも限界を迎えてしまう——そんな悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。

 

結果として、多頭飼育崩壊に至ってしまう事例も後を絶たないのが現実です。

本来、動物を救おうとして始めた活動が、結果として人も動物も苦しい状況に追い込まれてしまう。これは決して望ましいことではありません。

 

だからこそ、動物愛護をボランティアの善意だけに頼るのではなく、社会全体で支える仕組みを考える必要があるのではないでしょうか。例えば、保護団体の保護や飼養に対して一定の補助制度を設けることで、活動の持続性を高め、多頭飼育崩壊を未然に防ぐという考え方もあります。

 

そしてもう一つ、動物福祉を支える仕組みとして、民間の取り組みの役割も大きくなっていくのではないかと感じています。

 

私自身、現在「老犬ホーム」の開業準備を進めています。長年家族として暮らしてきた犬たちが、高齢になっても安心して過ごせる場所をつくりたい。そんな思いから始めた取り組みです。

 

老犬ホームは営利事業という形になりますが、その根底にあるのは動物福祉の考え方です。ボランティアだけでは支えきれない部分を、持続可能な形で支える仕組みとして、民間の役割も必要ではないかと感じています。

 

行政、保護団体、そして民間事業者。
それぞれが対立するのではなく、それぞれの立場から命を守る役割を担いながら、社会全体で支えていく。

 

営利か非営利かという区分を超えて、命を守るという共通の目的のもとに協力し合う仕組みづくりが、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。