なぜ老犬ホームなのか


ペットを飼うなら、最期まで責任をもって飼う。
終生飼養は当然のことです。

 

けれども、現実には、どうしても飼い続けることができなくなる事情もあります。
病気や高齢、入院、施設入所、家庭環境の変化——
「手放したい」のではなく、「手放さざるを得ない」。

そうした飼い主さんの気持ちに、そっと寄り添える場所が、
日本にはまだまだ多くありません。

 

特に三浦半島地域には、家庭的な雰囲気の中で、
老犬を丁寧にお世話できる施設はほとんどないのが現状です。

 

わんちゃんはもちろんですが、
“最期まで一緒にいたい”と願う飼い主さんの心を受け止める場所をつくれないだろうか。
それが、私の出発点でした。

 

私自身、家族で柴犬を飼い、最期までお世話をしました。
精一杯やったつもりでしたが、
今振り返ると「もっとできたことがあったのではないか」という思いは、今も心のどこかに残っています。

 

そんな頃、ある雑誌で熊本県の老犬ホーム「トップ」さんの記事を読みました。
もう10年以上前のことです。

 

「こういう場所があるのか」

 

万が一、自分の手元で飼い続けられなくなったとき、
安心して託せる場所があるということ。
その存在に、強く心を動かされました。

 

その後はさまざまな活動に追われ、再び犬を飼うことはありませんでしたが、
多くの方と話す中で、保護犬や老犬についての相談を数えきれないほど受けてきました。

 

そこで強く感じたのは、
わんちゃんの問題は、飼い主さんの“こころ”の問題でもあるということでした。

 

犬を守ることは、
飼い主の気持ちを守ることでもある。

 

だからこそ、
わんちゃんを大切にしながら、
同時に飼い主さんの心にも寄り添える場所をつくりたい。

 

 

その想いが、少しずつ、かたちになろうとしています。